お肉を発酵?? って。
はじめは全く想像できませんでした。お肉は出来るだけ冷蔵保存、西洋料理のセオリーです、少なくとも僕の経験からは。。
まだまだ暑いが残る晩夏、「もち米と骨付きの鴨を室温で発酵させて」と本に書いてあるんだけど。。
この京都の蒸し風呂のような暑さの中、お肉を室温に出して発酵させたら腐って虫がわいて、というような不安しかなく、毎日恐る恐る蓋を開けていた記憶があります。
数日経って、乳酸発酵の香りがしてきて、それから冷蔵庫へ移して1週間。
なんともいい香りなんです、これが。
これを野菜たっぷりのブイヨンで、少し火を通すだけお肉は柔らかく、乳酸発酵によるチーズのような酸味と旨味、スープが最高なんです。
日本の発酵食、例えばふなずし。酸味が強すぎて結構苦手なんです、個人的に。それにほんの一切れで充分、これでは料理にならない、ただの高級珍味。。
これをどうにか西洋料理的に構築して一皿の料理に頭を悩ませ考えたのが、スープ的な発酵お肉料理です。油脂を使わないし野菜たっぷり、お肉は乳酸発酵の過程で分解されているので、全く消化に負担がなくオンリーワンの美味しさなんです。
画像の羊肉は南半球ニュージーランド産。3月のみ出荷される完全放牧羊肉なので、旨味と香りが別物です。こんなこと言ったらびっくりされるかもしれませんが、通常出回っている輸入子羊肉って、真空パックして2週間以上冷蔵庫保存しておくと紫色になるんです。餌か保存注射か何かわからないですけど、相当やばい感じです。
そんなこんなを知っているせいか、もともとお肉を食べると調子が悪くなる体質のせいか、僕自身は、10数年間ヴィーガン生活をしています。そんな人間がこの発酵肉料理は、全く問題なく美味しく食べることができます。
そういう方、結構いるんじゃないでしょうか?胃が重たくて便通が悪くて。。
菌の力って、本当にすごいです
羊肉は香りを楽しむお肉として、西洋では最高の位置付けの食材です。
この繊細なお肉が乳酸発酵によって、チーズのような芸術的料理になります。もちろんスープも最高です。この料理にはオーガニックドイツ産ライ麦粉とイタリアのオーガニックアーモンドのライ麦パンを添えて。このライ麦パンは、ピッツァの石窯でしっかり焼成しているダ・マエダオリジナルパンです。